『金持ち心♀♂貧乏心』
俺は、数ヶ月前に起こったことをありのまま話した。
「そうか、大変だったね」
大吾郎さんは同情しているようで、していない表情だった。
「あの、何であいつら、去っていったんですか?」
「あぁ、それはこれだよ」
スーツの内ポケットから、小切手と書かれた物を取り出す大吾郎さん。
正真正銘の金持ちだと思った。
「あの、絶対に返しますから」
「いいよ。返さなくて。その代わりに条件があるんだけど」
照れくさそうに、しかし真剣に大吾郎さんは俺の瞳を見た。
「私たち、西園寺の養子、養女になってくれないか?」