『金持ち心♀♂貧乏心』




養子、養女と聞いて、俺は不思議と驚かなかった。



助けてもらった時点で、何かある。と思っていたのかも知れない。



じゃなきゃ、金持ちがどん底貧乏を助けるワケ無いから。



「借金も返せる自信がありません。その、養子で返すことになるなら・・・俺はいいです・・・けど、羽美が・・・・」



「君が言いたい事は分かる。私たちの家は子供が出来なくてね。もう歳だから・・・っていう理由で子作りを頑張るのをやめてしまってね。でも妻も私も子供が欲しいんだよ・・・・男の子と女の子。君を見たとき、変な話チャンスだと思った。そして今、妹がいると聞いて、ラッキーだと思ったよ。不謹慎とも言えるがな。」




大吾郎さんは俺に、名刺を渡した。



「金持ちの世界は跡継ぎとか、婚約者とか、それが当たり前とも言える世界だ。もちろん君には、養子になったら、西園寺を継いで欲しい。君の妹さんには、会社の利益になるような人の所に嫁に行って欲しい。そう思ってしまうんだ・・・いくら君達を愛したとしても」




名刺の上には『Saiongi Company』と書かれていた。



「もちろん嫌なら、借金を返して貰うまでだ。途中で嫌になったら、その半分でいい。私たちが満足していたらチャラにしたっていい。私たち夫婦に夢を見させてくれないか?」



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