『金持ち心♀♂貧乏心』




櫂也の両手にはたくさんの荷物。



「乗っていく?」



「いや、結構だ」




美桜は「そう」と一言。


そして、ポケットから校章を出し、校章バッチを元ある場所につける。




「楽しいから、もうちょっといようと思う。まだあなたは・・・ううん。何でもない。じゃあね」



犬養は美桜の言葉に驚いた様子だった。



犬養が後部座席を開ける。



「じゃあね。櫂也」



車が進みだすと、美桜の顔は急に強張った。



「美桜さま?」




「今すぐ、携帯会社の担当者を家に呼んで。新しい機種を何種類も用意させるの。忘れないでね」




美桜は外の流れ行く景色を見て、首を振った。





< 88 / 188 >

この作品をシェア

pagetop