『金持ち心♀♂貧乏心』
櫂也の両手にはたくさんの荷物。
「乗っていく?」
「いや、結構だ」
美桜は「そう」と一言。
そして、ポケットから校章を出し、校章バッチを元ある場所につける。
「楽しいから、もうちょっといようと思う。まだあなたは・・・ううん。何でもない。じゃあね」
犬養は美桜の言葉に驚いた様子だった。
犬養が後部座席を開ける。
「じゃあね。櫂也」
車が進みだすと、美桜の顔は急に強張った。
「美桜さま?」
「今すぐ、携帯会社の担当者を家に呼んで。新しい機種を何種類も用意させるの。忘れないでね」
美桜は外の流れ行く景色を見て、首を振った。