17歳のピストル
限られた狭い箱の中で
頭痛に悩まされ起きる毎日。
笑い声、けだるい足音、挨拶、視線、作った欠伸、教室、規律正しく並んだ机。そして上辺の、
「あ、おはよう」
「おはよー」

集団感染したように広がる挨拶。
「すっごい雪降ったね。」
「嫌だよね、本当。てか昨日休んでたじゃん。大丈夫なの？」
心配しているように見せ掛けるあたし。本当に心配しているわけでもない。ただクラスの子として、常識のためにも『相槌』としか言えないコミュニケーションをして自分の机へ向かう。
あたし、瀬川美咲は今年17歳を迎える高校二年生である。
長かった一年生の時期を過ぎ、今やっと進級したばかりの人間だが、もうすっかり高校生活には慣れたものだ。新しいクラスのメンバーにも半分くらいは慣れたように思える。
「おはよう、みっちゃん」

来た。
毎日聞くこの声。もう一体自分は何度聞いたか。
あたしの事をみっちゃんと呼ぶ彼女の名前は吉野さやか。
一年の頃からの『友達』だ。

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表紙・目次

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