貴方なんて、もう。
目の前の光景に、
小刻みに震えだした手。
大好きな人の誕生日を祝う為だけに買って来たショートケーキが、床に哀しい音を立て叩き付けられた。
「悠也…なんで」
涙に滲む視界には、
ボヤけた裸の男女の姿と
女の喘ぎ声。
玄関を真っ直ぐ行ったリビングの床で、絡まり合い、乱れた息が響く。
一瞬、女と目が合った気がした。
そして、一瞬にして鳥肌が立って、吐き気が襲う。
「……悠、入れて」
「あぁ…」
あたしは悠也の家を飛び出した。