結婚の条件《オオカミ秘書の恋愛指南》

長い睫毛が揺れ、影を落とす。


私の瞳には彼の横顔が切なげ見えた。
今まで、見せたコトのない…表情に私の心が揺れる。



「俺の生まれた場所…何処か分からない…。俺は冬の寒い夜…へその緒付けたまま…薄いタオルケットに包まり、新宿駅西口のコインロッカーに捨てられていた」



｢えっ!?」


｢多分、後１日発見が遅れていたら…俺は凍死していた。俺を引取ってくれた孤児院のシスターから聞いた話だ…俺が赤ん坊だったし…その時の記憶はない」



「・・・」


「今の苗字も名前も…シスターから貰った…誕生日も発見された日だ…。何処で誰が産んで…捨てたのかも分からない…。俺は何処の馬の骨か分からない男だ」


｢洋貴さん・・・!?」



急に聞かされた洋貴さんの過去に強い衝撃を受けた。