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屋上を出たあたしたちは、最初に出会ったあの階段をちょうど下りようとする所だった。


「ところで先輩。『期待しててバカらしくなった』ってどういう意味ですか?」

一歩前の岩崎先輩の背中に、そう尋ねる。


「あ?」

振り返った先輩は、あたしより一段、下にいるのにまだ大きかった。


「何に期待してたんですか?」

「別に」

そうはぐらかす。


「えぇーっ!ちゃんと教えてくださいよ〜」

「うるせーよ」

駄々をこねながら先輩を追いかける。





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