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黙々とわたしのお弁当を食べている姿を見て、彰吾がお弁当を作って来なくて良いって言っても毎日毎日作ってしまう。

この、姿が、顔が、見たいから。

ただ、それだけの理由で、この時間のためだけに、毎日早起きしてわたしは彰吾のお弁当を作っている。


キャッキャと楽しげな女子の声に、ワイワイ盛り上がる男子たち。

そして、ふたりして幸せそうな顔をしたり、愛しそうに隣にいる恋人を見つめる数名のカップルたち。


この中のどこにもいない。

悲しい顔とか、切ない顔とか、苦しそうな、胸が裂けそうな顔をした人は、


「外、気持ちいいね」

わたしと彰吾以外にはいない。





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