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間違いなく騒がしい屋上。だけどとても穏やかで静かな時間が流れている。


「今日、放課後あいてる?」

そう言ったわたしの問い掛けに、彼は反応しない。

それは、わたしの話を聞いていないから。


これは、いつものこと。

今に始まったことではなかった。付き合い始めた頃から、彰吾はそうだった。


「彰吾」

名前を呼ぶと、


「あっ、悪い」

我にかえった彰吾は、バツが悪そうな顔をしてそう言った。


わたしは思う。

いつまで続くんだろうか…。

いつまで、わたし達はこの状況が続くのだろうか。

いつになったら、この状況から抜け出せるんだろうか…。





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