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「で、なんだっけ?」
食べ終わったお弁当箱の蓋を閉めながら、そう聞く彰吾に、
「ううん、なんでもないよ」
わたしは笑って返事をする。
なんでもない、なんてそんなのは嘘で。
今日、彰吾が放課後あいていたなら、一緒に過ごしたいなって思っていた。
多分。多分だけど、彰吾がわたしの話をちゃんと聞いてくれる人だったらきっと、放課後は一緒に過ごしたいなんて、そんな恥ずかしい誘いがわたしから言える人じゃなかったと思う。
彰吾が聞いてないってわかってるから、わたしは言葉に出来るってだけ。
聞いてなきゃ意味ないけど、聞いてないからこそわたしから、「放課後あいてる?」なんてことが言える。
好きだよって言葉に出来ない替わりに、こうして一緒居たいアピール。
聞いてるかもって、少ない可能性でわたしはいつも言葉勝負をする。