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笑って誤魔化してないと、明日のこの時間がなくなる気がしてしまうから。


きっとわかってる。

彰吾もわたしがまた明日、お弁当を作ってくるってことを。

でも、笑ってるわたしにそれ以上のことは言わない。今までだって、一度も言われたことがなかった。


多分それが彼なりの償い、なんだとわたしは思う。

償いって言葉ほどでもないと思うけど。


淡々と前を歩く彰吾に、ついていくだけのわたし。

会話はなくて、わたしの教室につくと「じゃあ」と言って行ってしまう。

返事する間もなく、いつも大きな背中が見える。

背中を見つめながらわたしはまた思った。



……――――疲れた。






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