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「迷惑かけて、ほんとにごめんね」
そもそも、わたしが誰かと付き合おうだなんて随分生意気な話しだ。
家の前について、お礼を言おうとしたら彰吾が先に口を開いた。
「これ」
「あ…ありがとう」
渡されたのは、わたしがお昼に落として落としっぱなしだった二つのお弁当。
そして、お弁当箱を受けとって気付いた―――…。
彰吾はわたしの頭を優しくポンポンと撫でた。
「じゃあな」
泣きそうになった。正直、涙が零れないように堪えるのに必死だった。
「全部上手かった」
それだけ言って、彰吾は帰って行った。
…―――二つのお弁当箱は、とても軽かった。