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突然泣き出したわけのわからない、わたしの行動。

それを見た彰吾は、何を感じ、どう思ったのだろうか―――…。



彰吾に会ったらどんな顔していれば良いのか、無い頭で一生懸命考えてた。


「彰吾、お昼一緒に食べよう」

そして一生懸命考えた結果、結局は普通にしてるのが1番なんじゃないかと思った。

わたしが気まずくしていたら、彰吾に迷惑をかけるだけ。そう思ったから。


屋上には既に人が居て、その中には当たり前に松野さんと向井くんの姿がある。

いなかったら、わざわざここで食べる意味がない。


「昨日はありがとう」

そう言ってから、いつものようにお弁当を渡した。


「別に」

わたしのお礼に、そう答えた彰吾。

言葉のわりには素っ気ない声色ではなかった。


彰吾はきっと、自覚がない。

自分が、自然と松野さんを目で追ってるという事に気付いてないんだと思う。


お弁当を受け取ろうとした彰吾の手が、少しだけ空振った。






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