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ベットに寝転がりながら、携帯をいじるあたし。

そして、ベットに寄り掛かりながら雑誌を読む春。

聞こえるのは、テレビの笑い声と雑誌をめくる音だけ。


「ねぇ、春」

「んー?」

声をかけたあたしに、春は振り向かずに返事をした。

「テレビ消したら?」

夜、家でご飯を食べたあと春の部屋に上がり込んだ。

案の定春はケーキをくれて、あたしのご機嫌とりをした。

…もう、なんとも思ってなかったのに。


「おまえ見てないの?」

顔だけこっちを向いた春の前髪を、あたしは軽く束ねて持っていたゴムで縛った。


「テレビつまんない」

「つか、おまえ下履けって言ってるだろ」





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