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「ママ、ありがとう」

大人になるにつれて、ひとつ歳を取るにつれて、誕生日を祝われる有り難みとか幸せを実感する。

幼い頃は、プレゼントとかが楽しみで誕生日が好きだった。

誕生日は今でも好きだし、楽しみだけど幼い頃とはその感覚が違う。

大事にされてるんだなって事を1番に感じる。


「りぃ姉、俺もチーズケーキ好きだからいっぱい食べて良い!?」

「良いけど、お腹壊さないようにね」

「大丈夫だし!」

ニコニコ笑う燐が可愛くて、あたしはつい吹き出してしまった。

吹き出したあたしに気付いた燐は「何笑ってんだよ」と、ふて腐れた顔をしていた。

そのふて腐れた顔を見て、春のことを思い出した。

やっぱり、ここに春が居ないのは寂しい。

仕方ないことだけど、春も居たらなって思ってしまう。


そして、机を囲んで座り、再びみんなに祝われ、楽しく夕飯を済ませた。






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