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手を繋いで歩く帰り道に、月明かりが付き添う。
「俺さ、あん時すんげー悔しかった」
「あん時…?」
「莉鈴が告った時」
「…………」
「俺といつも一緒に居たのに、他の奴好きだなんて知らなくて」
「そういえば、言ってなかったね」
ピッタリとくっつく、ふたつの影に頬が緩んだ。
「おまえが告ってるところ偶然見ちゃって、俺頭真っ白」
「やっぱ見てたんだ」
なんであたしがフラれた事を、春が知っていたのかすごく不思議だった。
でも、誰かに聞いたのかなって思ったりもして…。
「俺だって告る前にフラれて泣きたいのに、おまえが大泣きするから」
「あの時は、ねぇ…。うん」
「おまえが好きなチーズケーキ、やたら頬張って誤魔化してたんだからな」
「うん、頬張ってたね」