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ガラガラと、教室のドアを開けるとそこには当たり前に森川くんの姿があった。

誰もいない、静かな教室にひとり、机に座って窓の外を眺めていた森川くんはゆっくりこちらを向いた。


「…お疲れ」

そう言った森川くんの瞳(め)には、どんなふうにあたしの顔が映っているんだろうか。


「ちゃんと言った?」

「言ったよ、素直に全部」

「なんて言った?」

この気持ちが芽生えたのは、いつだったかな…?

他の誰よりも、あたしは虜にされていた。

どこに惚れたの?って聞かれたら、マヌケだけど、あたしはきっと「全部」って答える。





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