Color



「恋をしました―――…」

話し始めるあたしに、森川くんは静かに耳を傾けてくれた。


『先輩っ!』

叫び、呼び止めると、

『…琴ちゃん、どうしたの?』

先輩はゆっくり振り向いた。

『あのっ…、その…』

『うん、ゆっくりでいいよ』

優しい目を向けてくれる先輩に、ごめんなさいと呟いて深呼吸した。


『…恋をしました』

突然、そう言ったあたしに先輩は少し驚いた表情をしたけど、あたしの真剣さが伝わったのか、直ぐにいつもの優しい顔に戻った。

『きっと、あたしはあの瞬間から惚れていたんです。夢中だったんです』





< 295 / 309 >

この作品をシェア

pagetop