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「恋をしました―――…」
話し始めるあたしに、森川くんは静かに耳を傾けてくれた。
『先輩っ!』
叫び、呼び止めると、
『…琴ちゃん、どうしたの?』
先輩はゆっくり振り向いた。
『あのっ…、その…』
『うん、ゆっくりでいいよ』
優しい目を向けてくれる先輩に、ごめんなさいと呟いて深呼吸した。
『…恋をしました』
突然、そう言ったあたしに先輩は少し驚いた表情をしたけど、あたしの真剣さが伝わったのか、直ぐにいつもの優しい顔に戻った。
『きっと、あたしはあの瞬間から惚れていたんです。夢中だったんです』