あなたに出会えて

 なんで機嫌悪いんだろう・・・、と思っているとチャイムが鳴った為、慌てて歩と久美と村上さんのプリントを回収し、職員室へと走った。

「失礼しました」

 無事先生に提出し、職員室を挨拶しながら出た。

 再び走って教室へと戻った。

「西野さーん、遅いよ。早く席について」

 次の科目の先生に促され、自分の席へと座った。

 その時だった。

 右斜め前の席の子が、手紙を受け取ろうとしているのが見えた。先生に見つからないように。

「姫佳から回ってる」と小さな声が聞こえた。

 姫佳はつまらない授業や気分で手紙を回して、何人かでいつもやり取りしていた。

 もちろん私も。だからいつものように、この右斜め前の子からこの手紙が回ってくるものだと、当たり前のように思っていた。
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