Dearest
響き
きっとあの時、誰でもよかった
あたしの中のなにかを埋めてくれるなら。
あなたじゃなくても.......
「これ以上どう我慢すればいいんですか?!」
「だからごめんって...」
プー....受話器から虚しく響く続切音
"自分から切ったくせに"そう自分を誡めても
この悲しみが消えることはなくて...
「ひっ...」
吐息混じりに漏れた声が薄暗い部屋に響いて
我慢していたものがあふれた。
あたし...白井由宇
この春高校に進学してから、三ヶ月が経とうとしている。
新しい制服に身を包んだあたしの期待はひとつ。
高望みをするわけでもなく、修羅場を望むわけもなく、
ただ...願わくば、甘い恋......
だけど実際、あたしを待ち受けていたのは
寂しさ、イビリ、悲しさ.....
我慢に我慢を重ねた苦痛の恋だけだった。