葱‐negi‐
立ち止まり、トルコと文字が書かれた看板に寄りかかり暫く天を仰いだ。
そしてよろよろとおぼつかない足取りで歩き出したのは、家と逆方向。俺は間違い無く駅へ行こうとしている。
進まぬ気に知らん振りをし足を前に出すが、一つ問題が有る。いくら母親に手を合わせに行くだけと言えど手ぶらで行く訳にはいかぬが、この放蕩貧乏学生の持ち合わせなど電車賃を除けば僅かである。
回らぬ重たい頭を手で支えながら歩いていると、ふと八百屋が目に入った。店先には色鮮やかに商品が御陳列して有る。林檎、西瓜、檸檬、大根、人参、葱…。
鳴呼、そうだ。葱が良い。
葱を一束、八百屋で買った。
そしてよろよろとおぼつかない足取りで歩き出したのは、家と逆方向。俺は間違い無く駅へ行こうとしている。
進まぬ気に知らん振りをし足を前に出すが、一つ問題が有る。いくら母親に手を合わせに行くだけと言えど手ぶらで行く訳にはいかぬが、この放蕩貧乏学生の持ち合わせなど電車賃を除けば僅かである。
回らぬ重たい頭を手で支えながら歩いていると、ふと八百屋が目に入った。店先には色鮮やかに商品が御陳列して有る。林檎、西瓜、檸檬、大根、人参、葱…。
鳴呼、そうだ。葱が良い。
葱を一束、八百屋で買った。