秘密な結婚
取り払われる壁
「はい、…もしもし。
…じいさん…?」
―――――
………彼が電話で…
誰かと……話してる…。
包みこまれていた温かさが
フッと私の身体から離れて
……目が覚めた。
私に背を向けて話す
彼の背中を寝そべったまま
見つめる…。
綺麗で滑らかなその素肌が
だんだんと遠ざかって行くような…
そんな気がして
ゾクリと背筋が震える。
――咄嗟に彼の腰に後ろからしがみついた。
「うわ…!
……あ、ううん、…何でもない…」
彼は話しながら私の腕をそっと緩めさせると
こちらに向き直った。