秘密な結婚
――――嘘。


何なの…。

これが……家…?!


確かに多少は大きなお屋敷を

想像してはいたけれど…

これは……城…だわ。


彼の背丈の三倍はあるであろう

蔦の絡まった彫刻が全体に施された

鉄製の門の前に

私達は、今、二人で立っている。


私はそれを見上げながら

私の存在など

この家にとっては

彼にとっては

小さなものなんだ、と

考えていた。


逃げるだなんて、そんな約束など

何の役にも立たないのだと。




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