秘密な結婚
俺の頬を、涙が伝う。
引き止めて、君を捕まえても
幸せにしてあげられない。
「紗和………」
小さな声で名前を呟いた時………。
「本当にあなたはいつまで経っても
意地っ張りですね」
背後から聞こえた声に振り返る。
……――青木……?
「全く、あの時と同じじゃないですか。
何で素直になれないんですか、春木課長」
「お前…何でここに…」
するとさらに奥から
また違った声がした。
「メソメソしおって。腰抜けが。
はよぅ、追いかけんか!
嫁一人、満足にたしなめられんとは。
情けない!」