秘密な結婚

俺の頬を、涙が伝う。


引き止めて、君を捕まえても

幸せにしてあげられない。


「紗和………」


小さな声で名前を呟いた時………。




「本当にあなたはいつまで経っても

意地っ張りですね」


背後から聞こえた声に振り返る。



……――青木……?


「全く、あの時と同じじゃないですか。


何で素直になれないんですか、春木課長」


「お前…何でここに…」



するとさらに奥から

また違った声がした。


「メソメソしおって。腰抜けが。

はよぅ、追いかけんか!

嫁一人、満足にたしなめられんとは。


情けない!」




< 125 / 169 >

この作品をシェア

pagetop