秘密な結婚
俺は彼女の手をそっと持ち上げると
先ほど返された指輪を
スッとその細い指に
再びはめた。
「ね、……紗和。
俺と一緒にいて。
君をずっと愛してるから」
「…拓真…っ」
彼女の小さな身体が
俺の胸に飛び付いてくる。
抱き締め返して
幸せを噛み締める。
そう、何度でもこうして
受け止めるから。
だから、別れるだなんて
二度と口にしないで。
君は俺の……ものだから。
離してなんて
あげないよ。