秘密な結婚


「紗和、俺にも」


拓真が笑いながら左手を

差し出してくる。


震える手つきで

彼の細く長い薬指にそれをはめこむ。


「ありがとう、紗和」


「拓真……」


二人で手を取り合って

見つめ合う。


拓真が、本当に、

私の旦那様になった。


これからは堂々と

夫婦である、と言える。


この手を離さないで、良かった。

彼を信じて、良かった。

彼を愛して、良かった。





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