秘密な結婚
「俺が…追わなかったら…
今、紗和は、ここにはいなかったの?」
「そうね。
あなたのために
消えていたわ…、きっと」
その時、首筋に、チリッと微かな
痛みが走った。
…え…?
……何…。
「俺のものだという…
しるし…。
絶対…誰にも……渡さないから…」
「…拓真…」
…キスマーク……。
今まで、絶対に…
つけなかったのに……。
私達の間に
大きく立ちはだかっていた
壁が、少しずつ…崩れているのを
感じた瞬間だった。
拓真…、もうどこにも
行かないよ……。