秘密な結婚
――――。


……あの時は本当に驚いたわ。

いきなり結婚だなんて、

突然すぎだもの。


まあ、……拓真らしいけど。



「紗和、これ、運んで」


拓真がキッチンから声をかけてくる。


「あ、はい」


ボンヤリしていた私は

頭を現実に戻して

慌てて立ち上がった。


キッチンカウンターから

ホカホカと湯気のたった

パエリアが綺麗に盛り付けられて出てくる。


「うわ…、おいしそう」


私が思わず言うと

キッチンから拓真が顔を出して

軽く片目をつぶった。


「拓真スペシャル。

愛情たっぷりだよ」



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