近くて遠い距離
君と、出逢った。
「はぁー…。どぉしよー…今日、カラオケに行かなくちゃいけなくなったんだよねぇ。」
「そうなの?ぃぃじゃん、カラオケ。楽しそー。」
「楽しくないよ。相手はあの、古泉(こいずみ)だよ?」
「あー…無いね。」
「でしょー!」
友達と私は電車の中で
ゲェー!
と嫌そうな顔をする。
因みに、私が今話をしている友達は小学校の頃から仲がぃぃ、
佐伯 優(さえき ゆう)
という、男友達。
何でも親身になって聞いてくれる、私の男友達の中では一番気の合う、気を許し合える人だ。
「古泉って、確か前に身体だけの関係持ってた人だよね?」
「あ゙ー…うん。」
「え、何。思い出したくなかった?」
「うぅん。"あの頃は私も若かったなぁ"と思って。」
「いやいや、今も十分若いから。」
「確かに。」
…その話はしたくない。
と、少しだけ、思う。
だって、私が汚れていると思ってしまうから。