近くて遠い距離





「ちょっと行ってくるね。」



「あ、古泉来たって~?」



「うん。あ、恵麻ちゃんは歌っててぃぃよ。愛も、そこに居ててぃぃから。」



「そのつもり~。」



「あ、うん。分かった。」




なんて差だ。




もう気にせずに歌っている恵麻ちゃんと、私に


いってらっしゃい


と手を振る愛を交互に見る。




うん、まぁ…らしいっしちゃぁらしいけどね。



逆に、恵麻ちゃんがいってらっしゃいとか言って手を振ってきたら怖いし。




友達中で噂になっちゃうよ。軽く、事件だよ、事件。




「いってきまーす。」




手を振ってくれている愛に手を振り返し、部屋を出る。




すると、少しの熱気が全身を覆う。




やっぱり、さっきの部屋はクーラーが効きすぎているんだ。




肩まである髪を横に束ねる。




髪の毛の中が、熱気でヤバい事になる。




暑いなら暑い、涼しいなら涼しいでハッキリしているのが私は好きなのに、微かに暑いから自然と眉毛が中心に寄る。




そのまま、スタスタと出入口に向かうと、古泉らしき人物を見付けた。






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