近くて遠い距離
「あ、別にぃぃよ。」
でも、愛は案外あっさりとOKしてくれた。
「え、ぃぃの?」
「うん。」
フフッと笑う愛に、何でそんな穏やかに笑ってんの。と心の中でツッコミを入れる。
「じゃあ今から連れてくるね。」
「うん、分かった。」
「はぁ~い。待ってまーす!」
愛の控えめな返事と惠麻ちゃんの元気な返事を聞いて、ドアを閉める。
ふぅ、これで古泉とその友達を呼べるな。
小さく息を吐いてカラオケの玄関へと急ぎ足で歩く。
…―――ここで、断っていたら…
まだ、苦しい想いをしないで済んだ。