近くて遠い距離
「痛っ、」
「あ。古泉のお友達さん、名前何て言うの?」
「俺?俺は成宮 聖
(なりみや ひじり)。まぁ、聖って呼んでよ。」
「了解。歌わないの?」
「おいおい、お前等。それは酷くねぇか?」
古泉が私の肩を叩きながら愚痴を溢す。
でも、それは見事スルーしてやった。
「歌ってぃぃよー。時間いっぱいあるし。ストレス発散で歌えば?」
「じゃあ…そうしようかな。」
古泉が聖に話し掛けているのにも関わらず、聖は無視して曲を選曲し始めた。
意外とノリぃぃな、聖。
軽く感心する。
聖とは相性が合いそうだ。
「あ、俺だ。」
古泉が選曲したボルネ・クラフティーの歌が流れる。
「歌って歌ってー。」
「言われなくても歌うし。」
「うわ、お前調子にのるなー。」
古泉が私に舌を出して笑う。
…お前の嫌いなグレープフルーツジュースを今度飲ませてやる。