近くて遠い距離
「二人っきりだね?」
古泉がドアを閉めたのを確認して聖が私の腕を強く引いた。
「そうだね。」
でも、私は流されずにそこにとどまった。
今、自分側に私を持ってこようとした…
恐ろしい。
この時の私は、聖のペースに引き込まれないようにって必死だった。
でも、そんな私の努力も虚しく――
「何で避けるの。」
「え、ちょっと待っ…んんっ、」
強引に聖のペースに持っていかれてしまった。
私の目には、切れ長な聖の瞳が映る。
聖の顔が間近なのは聖が私にキスしてきたから。
「ふ…ぁ、」
初めから激しく、貪るようなキス。
聖の暖かい舌が私の歯列を一個一個確かめるように、なぞう。
「ダ、メ…」
「ダメなの?顔が気持ちぃぃって言ってるよ?」
ニッと意地悪そうに笑った聖。
やっぱりコイツは魔性の男だ。