近くて遠い距離
「………。」
『なぁ、言えよ。』
黙り込んだ私に、聖が掠れた低い声で囁いた。
何で急に俺様口調に変えるのよ!
そんな事を思いながら心のどこかで喜んでいる自分が居る。
本当に、どうしちゃったんだろう。私。
『…言わねぇと明日、襲うぞ?』
そんな事言いながらどうせしないんだろう。だって私、生理だし。
「襲うのは出来ないでしょ?」
だから襲うなんて事はしてこない、と余裕を見せる私。
さすがに赤ちゃん出来る可能性大の女とヤるのは気が引けるでしょ。
それに、この前だって生理だったからヤらないで済んだし。
少し緩んだ口元をそのまま元に戻さずに聖の返事を待つ。
でも、聖の返ってきた言葉に私のこの余裕はすぐに無くなってしまう事になる。
『別に田中さんが生理終わってなくても俺はヤるよ?』
「はぁ?」
今日、二度目。
だけどもう一度言う。
馬鹿じゃないんだろうか。