近くて遠い距離
『田中さん、今の声最高...。どうしてくれんの、勃ってきたじゃん。』
「………知らないわよ。」
馬鹿じゃないんだろうか。
あ、これ三回目だ。
ふぅ…。と息を電話に吹き掛けながら喋る聖。
お願いだからその色気、どうにかして欲しい。
って、いうか電話でこんなに動揺したり、顔真っ赤になったりしてるのに直接本人に逢ったらどうなるんだ。
大丈夫なのか、私。
少しだけ明日が不安になった。
『田中さん…。明日が楽しみだね。』
「………うん。」
でも、そんな事もうどうでもぃぃくらいに聖が好き。
『梨李亜?』
「……何…?」
聖が私の名前を呼ぶと今まで思わなかったのに私の名前が特別みたいに聞こえて。
『さっきのもう一回言って?』
「勘弁してください。」
聖がお願いしてくるとそれに素直に応えたくなる。
……でも、素直になれない私はそれに応えないんだけどね。