近くて遠い距離
「よし、満足。帰ろうか。」
私が快感の頂上まで登りつめたのを確認した聖は清々しく笑って私の体を優しく起こす。
ほら、服着て。
と言いながら私のブラジャーのホックを器用に止める聖に、何だか寂しく感じた。
きっと、この人は色んな人と体を重ねてきたのだろう。
そうじゃないとおかしい。いや、逆にそうであって欲しい。
でないと、何でこんなに女の扱いが上手いのか悩む事になるから。
それに。
今日も聖と体を重ねなかったのは生理だから、とかもあるけどやっぱりここで私の変な変すぎるプライドが働いて。
簡単に体を捧げちゃう他の女と一緒にして欲しくなかった。
こんな事をしている時点でもう一緒かもしれないけれど、
私は体を重ねてないんだから他の女と一緒にしないで欲しい。
こんなのは私の勝手な言い分だって分かってる。
それに今、私と聖がしている事も……。
それでも止められない。
もっと触れて欲しい。
私だけを見て欲しい。
そんなの勝手な願いだって分かってるけど。
「また今度、しようね。」
「……うん。」
今、隣に居る聖は、私だけのものでいて欲しい。
…"イケナイ遊び"にハマってしまった。