近くて遠い距離
私は全然、大丈夫だけどね。
だって、こんな格好をしてる麗夢ちゃんだけど本当は人一倍優しくて正義感のある子だもん。
それに、すっごく乙女だから全然怖くない。
前、好きな男の子の前で緊張して喋れなかった麗夢ちゃんを見た時は凄く可愛いって思ったのを覚えてる。
カチンコチンになった麗夢ちゃんを恵麻ちゃんはお腹を抱えて笑ってたっけ。
なんて、昔の事を思い出してたら―――…
「梨李亜ちゃん!」
「うぇ!?」
恵麻ちゃんが私の顔を覗き込んで大きな声を出してきた。
バクバクと鳴っている心臓を浴衣の上から押さえながら恵麻ちゃんを見る。
すると、恵麻ちゃんは頬を膨らまして私を睨んでいた。
「え?どうしたの、恵麻ちゃん。」
「どうしたの?じゃないよ!ずーと話し掛けてたのに無視するから…寂しかったじゃん!」
ムウーと頬をこれでもかっていうぐらい膨らましてる恵麻ちゃんは、
向日葵の種を頬っぺたに詰め込みすぎてパンパンになっているハムスターみたいで笑える。