こちら広報部




「なにを今更。俺と蘭ちゃんの仲やろ?あ~んなことやこ~んなことも…」


「してないしっ!だから、誤解を招くようなこと言わないでってば!!」



ほら~…。

ファン様怒ってるよ?

どうすんの?


ってか、どうしてくれんの!


「そんな言うことないやんか~。そんなの気にするなや。」


気にしてないのは葵君だけだよ…と

呆れながらファンの痛~い視線に耐えた。



と、そこへ


「え~、生徒の呼び出しをします。伊藤蘭さん、伊藤蘭さん。はやく戻って来てください!」


秀の声が校内に響き渡った。


…そういえば、委員会の仕事サボったままだった!

今の秀の声、完璧怒ってたし~!!



「ごめん葵君。もう行かなきゃ!じゃあ、練習頑張ってね!」


そう言って、一歩踏み出したとき

パッと腕を掴まれた。


そう、葵君に。



「…葵君?」


不思議に思い聞き返す。


「あっ、いや。なんでもないねん!委員会頑張ってな!」


そう言って、頭を照れ臭そうに掻きながら

じゃ、っと言って練習に戻った葵君。



手を握られたときの、葵君の心配そうな表情が気になったけど

うちはその場を後にした。
< 63 / 113 >

この作品をシェア

pagetop