あたしはアイツの彼女役!?
ガチャ

扉が開く音を聞いて、空を眺めていた小井出水君が振り返る。

「……遅れてごめんね??」

「あぁ。い……いいよ。」

しばらくの間、2人の中に沈黙が流れた。

初めての告白で戸惑いながらも、沈黙を破ったのは、小井出水君だった……

「あの……僕さ……消しゴムが無くて困ってた日があったんだ……」

「うん……。」

「僕ってさ……人に話しかける事が苦手だからさ、近くの席の子達に「消しゴム貸してくれませんか??」って言えなかったんだ。」

「その時だったんだ………ひなたんがさ、「消しゴム無くて困ってるんでしょ??はい。どうぞ。」って言って僕に消しゴムを貸してくれたんだ。」

「他の女子とかは、僕の事気持ち悪いって言って近づかないのに、ひなたんだけは違った」

「その後も、ずっと、優しくしてくれたんだ。」

「その、優しさに僕は好きになった。」

「うん……」

「僕……ひなたんが好きだ!!付き合ってほしい……」

「……ごめん……でも、小井出水君の気持ちは、すっごく嬉しい本当にありがとう」

「何で駄目なのかな?? 僕が嫌い?? タイプじゃない??」

「ううん。違うよ。小井出水君は素敵な人だと思う。」

「じゃぁどうして!?」

「忘れられない人が居るからかな??」

「えっ??」

そう言って、あまり鮮明には覚えていない子どもの頃の話を小井出水君に話した。
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