ベルゼビュート(仮)
「……いや、死刑にならなかったのはセイラのおかげだから」
マコトは、セイラのせいだとは少しも思っていなかった。
全ては、自分の力不足のせいだ。
あのモンスターも、自分が武器を持っていれば難なく倒せた。
セイラを危険な目に合わせたのも、全て……。
「マコトは優しすぎる。……私は、マコトに本気で止めて欲しかったのに……」
「何?」
「……何でもない。私も一緒に行くからね。私もマコトと同罪なんだから」
セイラは笑顔で言うと、さっさと村長の家から出ていってしまった。
「ありゃ、本気だな」
困惑しているマコトに、シルヴァが話しかけてきた。
「どうする?」
「はぁ……」
面白そうに笑うシルヴァを見て、無意識にため息が出た。
さっきとは別人のような、いたずらっ子のような表情をしている。
「……さっきはありがとう。すまなかった」
マコトはシルヴァにそう言うと、村長の家から出ていった。
マコトは、夜明け前に村を出ようと決めた。
セイラを巻き込むわけにはいかない。