ベルゼビュート(仮)



「セ、イラ……」




体を動かそうとするも、ここの空気に体力と気力を奪われ、モンスターに受けた攻撃のダメージで動けない。
その間も、セイラは何とか逃れようと足掻くが、脱け出せない。
それどころかモンスターの力が強くなり、セイラの体をキツく締め付ける。
その度、セイラが悲痛な声をあげる。



「くっ」



セイラを助けるため、無理やり体を動かすと、傷口から血が吹き出る。
マコトの体に当たったつるの攻撃は、マコトの腹部に大きく深い傷を作っていた。
大量の血が流れ出て、意識が遠退く。
目を閉じると、セイラの悲鳴が聞こえる。



《そのまま死ぬか?》



突然、低く野太い声が聞こえてきた。
遠退く意識が、留まる。



《そのまま、死ぬか?》



再び、声が響く。
どうやら、その声はマコトにしか聞こえていないようだ。



「お前は、誰だ……」



掠れた、小さな声で聞き返す。



《この地に封印されし者、と言えば分かるな》



ククッと笑ったのが分かった。



「魔神……か……」

《そうだ。……どうする? そのまま死ぬか? 守りたい者も守れぬまま》

「嫌だ」



その声に、今の現実を突き付けられ、この状況を変えたい気持ちが強くなる。



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