【完】キミはただの幼なじみ
「もう、空くんには教えるよ」
「え?」
「・・・・私の家」
・・・・・・アイツの家。
一体、どこだ?
「私ね、母子家庭だったんだ。それで・・・お母さんには彼氏がいて。同棲してるんだ」
「・・・・・・そっか」
「だって、居づらいじゃん?・・・お母さんとその彼氏が同棲してる家に私がいるなんて」
そういうことか。
「いつも、送ってもらってる公園あるでしょ?」
「あぁ」
「あの公園って私の家とは真逆なんだ」
「・・・え?」
「昔ね、あの公園の近くに住んでたの。おばあちゃんとおじいちゃんとお母さんと一緒に・・・・」
・・・・・・じゃあ、
いつも送ってたとこは家の近くでもなんでもないってことか?
「あの家が好きだった。けど、家賃が払えなくて。私が中2になったころからね、お母さんはほとんど帰って来なくなった。・・・今の家で同棲してた。ずっと、仕事の寮って言って私に嘘ついてた」
「・・・・・・そうなんだ」
今のみなみの顔は、真面目でどこか切ない顔だった。
話し方も、いつものぶりっ子でもなくて普通だった。