君に逢いたかった理由。
alon
ガサガサガサッ
だだっ広い草原に囲まれた家。
そこに私は住んでいる。
ガチャッ!
「ただーいまー!じーん?」
茶色いショートボブはふわふわの猫っ毛。
色素の薄い眼と肌。
小柄な体型と童顔は私のコンプレックスでもある。
「じーん?…いないのかな」
古びた赤い屋根と煉瓦の壁。
家の側には、赤いポストに小さな小屋。
そこが、私と尋の家。
最初にも言ったけど、
ここは広い草原に囲まれている。
あるのは、小さな川と大きな木が何本かあるだけ。
周りに、
家は一軒も無い。
買い物は週に一回、
片道1時間かけて一番近いスーパーに行く。
不便じゃないの?
って聞かれたら確かに不便だけど、
満足している。
だってここは、無理して人と関わらなくてもいい場所だから。