君に逢いたかった理由。
ビルの屋上。
フェンスを乗り越えて、落ちるギリギリに立つ。
死んで生まれ変わるんだ。
ゆっくりと眼を閉じて、体を前に倒していく。
やっと、自由になれる。
けれど、
いつまでたっても足は地面についたまま。
ゆっくり後ろを振り替えると知らない男のひと。
そいつが私の腕をぎゅっとつかんでいた。
『なに…してんの』
何故か怒った口調の話し方。
『…関係ないし』
なんだか、
その言い方が気にくわなくて、素っ気なくなる。
『…確かに俺には君が死のうが関係ない。だけど、俺は君に死んでほしくないな』
『意味わかんないし』
『とりあえず、ここ危ないよ』
『ほっといてよ!私の勝手じゃん!』
『じゃあ、君を助けるのも俺の勝手でしょ?』
そうへらっと言ったコイツの言葉に私は何故だか凄く泣きたくなった。