君に逢いたかった理由。
『はい、ホットミルクでいい?』
コトンとテーブルに置かれたマグカップの中から、
ミルクの優しい匂いが鼻を抜ける。
『ついておいで』
ビルの上で優しく言われて、
何故か素直に着いてきてしまった。
「…なんであたしにかまうの」
『早く飲まなきゃ冷めるよ?』
何故こうもコイツは、
話が噛み合わないんだろう。
半分諦めて、
一口ミルクをすする。
「…おいしい」
『でしょ?俺の得意料理』
ふわっと優しく微笑む。
まただ。
この笑顔に私は弱い。
助けられた時だって、
この笑顔を見たら何も言えなくなった。
なんで…
「…料理じゃないし」
『えっ…同じようなもんだ!』
なんでコイツといると、
こんなに心がぽかぽかするんだろう…