裏切り

香奈視点

「はぁー♪疲れたよ♪ホント、ムカつくんだから♪」
1人きりのトイレに香奈の声が響いた。 「アイツなんか、だいっきらい。」

どうして、千夏は香奈より可愛いって言われるんだろう?どうして、千夏は香奈が好きになった人の好きな人なんだろう?どうして、みんなに愛されるのだろう?香奈はずっとずーっと思ってきた。

千夏に出会う前は、親の都合で転校が多く、なかなか同じ場所に長くはいられなかった。そのため、友達は出来ずにいた。中学入学を間近に迫ったある日香奈は親に一定の場所にいたいとお願いした。両親は香奈のためにアパートを借りてくれて、次の仕事にいった。一定の場所にいてもなかなか友達はできなかった。そんな時、声をかけてくれたのが千夏だった。千夏は優しくて人気者だった。そのうち、千夏と香奈は休みになるたびに遊ぶようになって親友にとなっていた。最初はすごく楽しかった。千夏といるだけで、友達はすぐに出来たし、彼氏だってそこそこにいた。でも、結局香奈に寄ってきた人は千夏に近づくためだった人が多かった。でも、すぐに手放す事はできなかった。千夏が好きと言うより、友達に囲まれなくなるのがイヤだったから。そのうち、羨ましさや千夏を取られた悔しさは憎しみに変わっていった。
< 36 / 69 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop