「千夏、やっと見つけた♪もう逃げられないよ??」
「い、イヤっ!!なんでっ!?」

蓮がニコリと笑ってあたしに近づいてきた瞬間、あたしは寒気がした。蓮の後ろに…見慣れた影があったから。

その影は…

親友の香奈だった。
「…なんで?…香奈?」
「なんでって?香奈はあんたが嫌いだから♪裏切られてるって知らないで私を頼りにしてきて、バカじゃない?でも…面白かったよ♪ねぇ。蓮君のもとに戻りなさいよ??」
「…ホント、なの?ひどいよっ!!」
「ヒドいってどっちがぁ?私のね、好きな人、みんなあんたが好きだったんだよ?あんた、私を応援するとか言って騙してたんでしょ!?あんたなんか、親友じゃなかったんだよっ!!目障り…!!」

目障り…か。今のが一番応えたよ?香奈、あたしね、知ってたよ。香奈があたしの事嫌いだって。でもね。香奈と遊んでて、香奈があたしの事本気で嫌いだなんて思えなかったの。だからね?あたし、香奈の事本気で好きだったし、親友だと思ってた。だけど…
今までこらえていた涙は涙腺を崩壊させて、次々と頬を伝っていった。

「泣いてんの?バカじゃん。キモイよ?」

あたしはキッと睨むと、お母さんの手を取った。
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