俺だけの可愛い子犬
はぁ‥何やってんだろ‥
バカだな〜‥
トボトボと保健室に向かった。
「紫音!!」
パシッと腕を掴まれた。
振り向かなくても分かる。
「奏人君‥」
顔を見たとたんに、
涙が滲んできた。
泣いちゃダメなのに‥
あたしの意思なんて関係なしに、
ポロポロと涙が出た。
「紫音‥?」
奏人君が、温かい手で
涙を拭うからさらに溢れる涙。
やめて‥
好きな人‥いるんでしょ?
優しくしないでよ‥
「離‥して?」
頑張って絞り出した声。
「紫音‥」
今は、奏人君の優しさが憎い。
涙が止まらない。
「ゴメン‥」
そう言って、腕を振り払い走った。