そのプレゼント、プライスレス

黄色地で花柄のワンピースと、白のサンダルを履いている後ろ姿を見送る。

身長が150センチもない(本人はあると言い張っていたが、多分盛っていると思う)彼女は、その大きさの割に堂々としていて、見た目は普通の女の子なのに、意外と芯が強かったりする。


一ヶ月に一度逢えるか逢えないかでも、俺がメールを何週間も返せなくても、誕生日を忘れてしまっても、彼女は何時でも笑ってくれていた。

俺が部活で思うように結果が出なかった時も、優しく励ましてくれて、大会で優勝した時は、自分のことのように喜んでくれた。

4ヶ月も前に、市の大会で俺が優勝したときの地元紙の小さな新聞記事を、彼女がスケジュール帳にはさんで、未だに肌身離さず持っているのを俺は知っている。

そんな彼女を見る度に、心臓が疼くような、不思議な気分がする。



――これが、愛しいというやつなんだろうか。



前の彼女にも、こんな感情を抱いていたのだろうか。


そんなの、もう、忘れてしまった。



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