そのプレゼント、プライスレス
「はいっ」
コーヒーのおかわりを持って、彼女が帰って来た。
「おーご苦労」
二人分のブラックコーヒー。
俺も彼女も無糖派。
さっきの誕生日の話題は立ち消えて、彼女が学校の話をし始める。
何時もの感じ。
やっぱり、月に一度はこうしていたい。
でも、俺の第一志望の大学は北海道で、そこに受かると、本州のど真ん中に位置するこの地元から、いやがおうでも離れなければならない。
昔からの自分の目標を叶える為だから志望校を変える気は微塵もない。
だけど、必然的に彼女と離れてしまうことだけが、心に引っ掛かる。
『離れても全然逢いに行くよ』
と、俺が彼女に志望校を話したとき、彼女はやっぱり笑ってそう言ってくれた。
あの時俺は、なんだか泣きそうになってしまった。
だって、そう笑った彼女の顔が、余りにも淋しそうで。
出来ることなら一緒に連れていってしまいたい。
ほんとうは、離れたくなんかない。
だけど俺はまだどうしようもなくガキで。
彼女を連れていくなんてことは出来ない。
悔しいけど、彼女が笑って送り出してくれるように、今は勉強するしかないんだ。
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